ポジティブ=メンタルが強いではない!ビジネスにも活きる“本番に強いメンタル”の作り方(前編)

 スポーツの試合では、競技を問わず緊張やプレッシャーは付き物ですよね。大事な試合になればなるほど、本来の力を出すのは難しいものです。世界の大舞台で極度のプレッシャーにさらされるトップアスリートはもちろん、これは私たち一般人でも同じ。初めて出場した大会で場の空気に飲まれてしまったとか、あるいはスポーツ以外でも、ビジネスシーンにおいて大事なプレゼンが緊張のあまりうまくいかなかった……といった経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。

 とはいえ、メンタル面のことって身体を鍛えたりするのと違って何をすれば良いのかイマイチ見えてこないですよね。具体的にどのようなことを行えば「本番に強いメンタル」を手に入れられるのでしょうか?

 そこで今回は、株式会社43Lab代表取締役・メンタルトレーナーの清水利生さんに、正しいメンタルトレーニング方法について伺いました(初出:2017年5月)。

必ずしも“ポジティブ=メンタルが強い”ではない

――今日はスポーツにおけるメンタルトレーニングの重要性やそのやり方について伺っていきたいのですが、清水さんは現在どういったスポーツ選手のサポートをしているのですか?

現在はチーム単位ではFリーグ(日本フットサルリーグ)のフウガドールすみだやトヨタ自動車のスケート(ショートトラック)チーム、中央大学の駅伝部などのサポートを担当していて、個人ではプロ野球選手や競馬のジョッキー、モトクロスライダーなど多数の選手のパーソナルメンタルトレーナーをさせていただいております。

――かなり多くの競技の選手たちをサポートされているのですね。やはりどの競技においてもメンタルの状態というのはパフォーマンスに大きく影響するものなのですか?

そうですね。団体競技なのか個人競技なのかとか、「プレーの中で直接他人の要素が入ってくるか否か」など、競技によって準備のやり方は多少異なりますが、基本的にどの競技もメンタルがパフォーマンスに大きく影響することは起こり得ると思います。

――いわゆるメンタルが強い・弱いといった言い方をしますが、メンタルが強い選手って他の選手と比べて具体的に何が違うのでしょうか?一般的にはメンタルが強い=重要な場面でも緊張しない選手とか、常に平常心でいられる選手、または逆境でも弱気にならない選手というイメージがあると思うのですが。

確かに、現在の日本ではポジティブ=メンタルが強いと思われる傾向が強いと思います。ただ、我々リコレクトでは前向きでいる、強気でいるということではなく、「どんな感情を持っていても行動を起こせる、いつもの力が発揮できて、パフォーマンスが落ちない」ということがメンタルの強い選手だと考えています。常にポジティブな気持ちである必要は無く、プレッシャーの中で生まれてくるネガティブな感情もきちんと受け止めた上でいつも通りのパフォーマンスを出せるかが大事なんです。

――「失敗したらどうしよう」とか、「いつもより緊張する」といったネガティブな感情が湧いてしまうこと自体は悪いことではないのですか?

はい。どんなに優れた選手でも大事な試合を前にすればナーバスにもなりますが、その状況下でも普段通りのパフォーマンスを出せるようにしておくことがとても大事になります。日本ではポジティブという言葉があまりにも広まり過ぎたことで「前向き=結果が出せる・パフォーマンスが落ちない」と誤解されてしまっているところがあります。しかし、実際には緊張していても良いプレーができる選手もいますし、逆にポジティブな感情でいても思うようなプレーができずに終わってしまうこともあります。不安な感情を抱いていたとしても、それがそのまま低パフォーマンスに直結するとは限らないんです。

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